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おねしょ(夜尿症)について

夜尿症とは、5歳以上のお子さんが月に1回以上、睡眠中に無意識に尿をもらしてしまう状態が3か月以上続くことをいいます。

一般的には「おねしょ」と呼ばれるものです。

ただし、5歳未満のお子さんのおねしょは発達の途中ではよくあることで、特別な問題ではありません。

一方で、5歳を過ぎても続く場合には「夜尿症」という治療の対象になることがあります。


夜尿症はどのくらい多いの?

夜尿症は決して珍しいものではありません。

年齢     夜尿症の頻度
5〜6歳     約15〜20%
小学校低学年     約10%
小学校高学年     約5%
中学生     約2〜3%

 

小学生では10人に1人くらいと言われています。

外来でお話を伺っていると、「うちの子だけなんじゃないか」と心配される保護者の方も多いのですが、実際には同じ悩みを持つご家庭は少なくありません。


夜尿症の原因

夜尿症は、しつけや性格の問題ではありません。

保護者の方から

「トイレトレーニングが遅かったからでしょうか」
「甘えているのでしょうか」

と聞かれることもありますが、基本的には体の発達に関係する問題です。

主に次の3つの要素が関係していると考えられています。

夜間の尿量が多い

通常、睡眠中は「抗利尿ホルモン」の働きによって尿の量が減ります。

このホルモンの分泌が十分でないと、夜間の尿量が多くなり膀胱に収まりきらなくなることがあります。

膀胱の容量がまだ小さい

膀胱がまだ発達途中で、尿をためられる量が少ない場合があります。

また膀胱が敏感で、少量の尿でも収縮してしまうこともあります。

睡眠中に目が覚めにくい

膀胱がいっぱいになっても、そのサインで目が覚めにくいタイプのお子さんもいます。

こうした要因が一つ、あるいは複数重なって夜尿症が起こります。


外来でよく聞かれる質問

夜尿症の相談でよく聞かれるのが「夜中に起こしてトイレに行かせた方がいいですか?」という質問です。

結論から言うと、基本的には起こさない方がよいとされています。

起こしてトイレに行かせると、その日は濡れないこともあります。ただ、それは「夜尿症が治った」というわけではありません。

むしろ睡眠が浅くなってしまうこともあるので、小児科では「起こさない」を基本としてお話することが多いです。


ご家庭で気をつけてほしいこと

夜尿症のお子さんで一番つらいのは、実は本人だったりします。

外来でも「自分でもわかっているんだけど出ちゃう」と話してくれる子もいます。

そのため、ご家庭では次のことを意識していただければと思います。

叱らない

おねしょは本人の努力ではコントロールできません。叱ってしまうと、必要以上に自信をなくしてしまうことがあります。

比べない

「お兄ちゃんはもうしてなかったよ」という言葉は、子どもにとって意外と強く残ります。

焦らない

成長とともに改善していくお子さんも多いです。ご家庭ではよく「叱らない・起こさない・焦らない」とお伝えしています。


夜尿症の治療

夜尿症の治療は、お子さんの状態に合わせて進めていきます。

生活習慣の見直し

まずは家庭でできることから始めます。

  • 夕食後の水分を控えめにする

  • 塩分をとりすぎない

  • 寝る前にトイレに行く習慣をつける

  • 規則正しい生活リズムを整える

  • 体を冷やさないようにする

これだけで改善するお子さんもいます。

お薬による治療

生活習慣だけで改善しない場合は、お薬を使うこともあります。

ミニリンメルト®

夜間の尿量を減らすお薬です。夜に尿が多いタイプのお子さんに効果があります。

また、膀胱が敏感なタイプのお子さんでは、膀胱の収縮を抑えるお薬(抗コリン薬)を使うこともあります。

お子さんのタイプを見ながら、治療を相談していきます。


治療を始めるタイミング

「もう少し様子を見てもいいでしょうか?」と相談されることもよくあります。

実際には、小学校入学前後で相談に来られるご家庭が多い印象です。

修学旅行や林間学校などの宿泊行事が近づくと、お子さん自身が気にするようになることもあります。

早めに治療を始めることで、安心して行事に参加できるようになることも少なくありません。


最後に

夜尿症は、お子さんの努力不足でも、保護者の育て方の問題でもありません。

医学的に治療できる病気です。

外来でお話をしていると、「もっと早く相談すればよかった」と言われる保護者の方も少なくありません。

精華町の小児科たけうちファミリークリニックでは、お子さんとご家族の気持ちに寄り添いながら診療しています。

おねしょのことで少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

オンライン診療でまずご相談いただくことも可能です。

子育てしながら、医師としてのキャリアをあきらめないでほしい

当院では現在、医師(常勤・非常勤)を募集しています。

▶ 求人情報はこちら
https://doctorsfile.jp/jobs/h/218887/offer/

今日は、条件の説明ではなく、院長としての思いを書きたいと思います。

当院が目指しているもの

当院は小児を中心としたファミリークリニックとして、乳幼児から成人まで幅広い年代の診療を行っています。

地域医療における小児科クリニックの役割は、「風邪を診る」だけではありません。

私たちが大切にしているのは、「こどもの症状だけを診る」のではなく、保護者や家族全体を支える医療です。

不安な気持ちに寄り添い、家庭の背景を理解し、長い時間軸で子どもの成長を見守ることだと考えています。

だからこそ当院は、「こどもにも家族にもやさしいクリニック」でありたいと思っています。

その“やさしさ”は、働く側にも向けたい

子どもにやさしい医療を目指すなら、その医療を担う医師やスタッフにもやさしい環境であるべきだと思っています。

特に、子育て世代の女性医師。

産休・育休を経て復帰を考えたとき、

  • いきなりフルタイムは不安
  • 子どもの行事や急な発熱が心配
  • ブランクがある
  • 迷惑をかけてしまうのではないか

そんな思いを抱えている方は少なくありません。

しかし、私は思うのです。
子育てを経験している医師ほど、家族の気持ちがわかる存在はいないと。

夜中に熱を出した子どもを抱えた経験
保育園からの突然の呼び出し
「この薬で大丈夫?」と不安になる気持ち

それを実感として知っている医師は、保護者にとってどれほど心強い存在でしょうか。

キャリアを止めない場所をつくりたい

医師になるまでに積み重ねてきた努力、知識、経験。
それは社会にとって大切な財産です。

当院は、そのキャリアを“無理なく続けられる場所”でありたいと思っています。

週1〜2日、午前のみ、短時間勤務からでも構いません。
まずは小児科中心で、慣れてきたら家族診療も。
段階的に関わっていただくことも可能です。

院長である私自身も子育て中です。
家庭との両立がいかに大変か、現実的に理解しているつもりです。

だからこそ、「迷惑をかけるかもしれない」という前提ではなく、
「お互い様で支え合う」という前提でチームをつくっていきたいのです。

こんな方に来てほしい

・丁寧な説明や対話を大切にしたい方
・子どもだけでなく家族全体を支える医療に共感できる方
・子育て経験を診療に活かしたい方
・ブランクがあっても、もう一度医療の現場に立ちたい方

まずは話してみませんか

いきなり応募でなくても大丈夫です。
見学だけでも、オンラインでの面談でも構いません。

「こんな働き方は可能ですか?」
「週◯日ならできるのですが…」

そんな相談から始めていただいて構いません。

子育て世代のお母さんが、
医師としてのキャリアをあきらめずにすむ場所。

そしてその経験が、地域の家族を支える力になる場所。

そんな循環を、このクリニックからつくっていきたいと思っています。

 

▶ 求人情報はこちら
https://doctorsfile.jp/jobs/h/218887/offer/

ご縁があれば、うれしく思います。

【2026年4月より定期接種予定】RSウイルス感染症を予防するアブリスボってどんなワクチン?

赤ちゃんの「はじめての感染症」を減らす準備、できていますか?

生後まもない赤ちゃんは免疫が十分に成熟しておらず、感染症にかかると症状が重くなったり、入院が必要になったりすることがあります。なかでもRSウイルス感染症は、乳児の呼吸器感染症としてよくみられ、流行期には「咳が続く」「ゼーゼーする」「授乳量が減る」「呼吸が苦しそう」などの症状で受診されることが少なくありません。

「できることなら、赤ちゃんが小さいうちは重い感染症を避けたい」——その思いに応える選択肢の一つが、妊婦さんが接種するRSウイルスワクチンアブリスボ®です。当院では、妊娠中のワクチン接種について不安なく検討できるよう、丁寧に説明し、安心して接種できる体制を整えています。

 

RSウイルス感染症とは?

RSウイルスは、乳幼児に広くみられるウイルスで、風邪のような症状から始まります。多くは軽快しますが、月齢が低い赤ちゃんでは下気道に炎症が及び、細気管支炎や肺炎を起こして呼吸が苦しくなることがあります。

特に、流行期に出産予定の方や、上のお子さんが保育園・幼稚園など集団生活をしているご家庭では、家庭内にウイルスが持ち込まれるリスクが高くなりがちです。赤ちゃんの体調は変化が早いので、「かかってから」だけでなく「かかりにくくする」「重くしにくくする」準備が大切です。

RSウイルス感染症の詳細はこちら

 

アブリスボは「妊娠中に赤ちゃんへ抗体を渡す」ワクチンです

アブリスボは、妊婦さんが接種することで体内に抗体が作られ、その抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへ移行します。これにより、赤ちゃんが特に弱い生後早期の時期に、RSウイルス感染症の発症や重症化リスクを下げることを目的としています。

赤ちゃん自身は生まれてすぐ十分な免疫を作りにくいため、「お腹にいるうちから守る準備ができる」という点が大きな特徴です。出産後は外出や受診が負担になりやすい時期でもあるため、妊娠中に計画的に備えられるのもメリットです。

 

接種対象時期(いつ受けられますか?)

接種できる時期は妊娠28週〜36週で、この期間内に1回接種します。

当院では、より確実に赤ちゃんへ抗体を届ける観点から、妊娠28〜30週ごろでの接種が望ましいとされています。これは、接種後にお母さんの体内で抗体が作られ、その抗体が胎盤を通して赤ちゃんへ移行するまでに一定の時間が必要になるためです。

また、RSウイルスは流行期があり、特に生後0〜6か月の赤ちゃんは重症化しやすい時期とされています。出産予定日から逆算して、赤ちゃんがこの月齢をRS流行シーズンに迎えそうな場合は、アブリスボの接種を前向きに検討する意義があります。

迷われる場合は、妊娠経過や体調も踏まえる必要がありますので、産婦人科医または小児科医へ早めにご相談ください。

接種費用(自己負担はどのくらい?)

アブリスボは、2026年4月1日から定期接種となり、原則として自己負担なく接種できる予定です(制度の詳細は今後の国・自治体の案内により変更となる可能性があります)。

それまでの期間は任意接種としての取り扱いとなり、当院での費用は28,000円(税込)です。

ご予約はお電話で承っております。ワクチンの確保が必要なため、接種をご希望の方は早めにお問い合わせください。

 

さいごに

RSウイルス感染症は身近な一方で、月齢の低い赤ちゃんでは重症化することがあります。アブリスボは、妊娠中から赤ちゃんを守る準備として検討できる大切な選択肢です。当院では、妊婦さんが安心して出産と育児を迎えられるよう、丁寧な説明と安全に配慮した接種体制でサポートします。まずは一度、ご相談ください。

【緊急警報】インフルエンザB型が異例の猛威

― 2026年1〜2月、全国で急増 ―

日本全国でインフルエンザB型が急増しています。

厚生労働省の定点報告では、
1月下旬〜2月初めに患者数が再び増加し、全国で10万人を超える警報レベルとなりました。

今シーズンは、前半にA型が大流行。その後いったん落ち着きかけたタイミングでB型が急増するという、1シーズンに2つのピークを持つ異例の展開となっています。

B型流行の「異例性」とは

■ 二峰性の流行

シーズン前半はA型が中心でしたが、1月下旬からB型が急増。
統計上も「再上昇」が確認されています。

■ B型が流行の主体へ

地域によっては、インフルエンザ患者の大多数がB型という報告もあり、流行の中心が完全にB型へ移行しています。

■ 二度罹患の増加

A型とB型は、同じインフルエンザウイルスの仲間ですが、ウイルスの型が異なります。

そのため、A型にかかった後でもB型に感染することがあります。

「この冬、2回目のインフルエンザです」という患者さんが本当に多いです。

インフルエンザB型の医学的特徴

B型はA型と同様に

・38〜39℃の高熱
・強い倦怠感
・頭痛・筋肉痛
・咳や鼻症状

を起こします。

しかしB型では、消化器症状(腹痛・吐き気・嘔吐・下痢)を伴うことが比較的多いことが知られています。

「胃腸炎だと思っていたらインフルエンザ」

実際にインフルエンザB型の患者さんを診察していて、特に感じるのが、

  • 消化器症状が前面に出るケースが多い

  • 一旦解熱してから再び高熱が出る「二峰性」の経過

  • 発症早期は迅速検査で陰性となり、再検査で診断に至る例(診断するのに苦慮する。。)

です。

「お腹の風邪かな?」と思っていたら、実はインフルエンザB型だった、というケースが少なくありません。

腹痛や吐き気に加え、 “いつもと違う強いだるさ”がある場合は注意が必要です。

私たちが取るべき行動

この流行を乗り切るために大切なのは、過度に恐れず、しかし軽視しないことです。

✔ 早めの受診判断

高熱や強い倦怠感、消化器症状がある場合は医療機関へ相談を。

✔ 正確な情報提供

受診時は
・いつから症状があるか
・周囲に感染者がいるか
を具体的に伝えましょう。

✔ 十分な休養と水分補給

特に消化器症状がある場合は脱水予防が重要です。

✔ 基本的な感染対策

手洗い、マスク、換気、加湿。
基本こそ最大の予防策です。

まとめ

2026年シーズンのインフルエンザB型流行は、例年の「A型が終わったあとの小規模流行」とは明らかに異なります。

正しい知識を持ち、冷静に対応することが何より重要です。

体調に違和感を感じたら、無理をせず早めにご相談ください。

こどもの下痢、どう対応する? 家庭でのケアと食事のポイント

はじめに

お子さんが突然下痢をすると、保護者の方は「何か悪い病気だろうか」「食事はどうしたらいいの?」と、とても心配になりますよね。特に小さなお子さんは、自分の症状をうまく言葉で伝えられないため、なおさら不安が募るものです。

お子さんが下痢をした際の家庭での対応、特に「病院を受診する目安」と「食事のポイント」について、分かりやすくまとめてみました。

子どもの下痢、病院へ行くべき?受診の目安

子どもの下痢は、多くの場合、ウイルス感染による胃腸炎が原因であり、数日で自然に良くなることがほとんどです。しかし、中には注意が必要なケースもあります。以下の症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

 

すぐに受診が必要な「危険なサイン」

○ぐったりして元気がない

呼びかけへの反応が鈍い、遊ばないなど、普段と比べて明らかに元気がない状態は注意が必要です。

○水分が摂れない・嘔吐を繰り返す

水分を口にしてもすぐに吐いてしまう、あるいは全く水分を受け付けない場合は、脱水症のリスクが非常に高まります。

○おしっこの回数や量が少ない

半日以上おしっこが出ていない、おむつが濡れないといった場合は、脱水が進んでいることを示しています。

○泣いても涙が出ない、口の中が乾いている

体内の水分が不足していることを示すサインですので、見逃さないようにしましょう。

○血が混じった便(血便)が出る

いちごジャムのような便や、黒っぽい便が出た場合は、細菌性腸炎や腸重積症など、重大な病気の可能性があります。

○白っぽい便が出る

ロタウイルス感染症や胆道系の病気の可能性があるため、医師の診察を受けましょう。

○激しい腹痛を伴う

泣き叫ぶ、顔色が悪くなるほどの強い腹痛がある場合は、腸重積症などが疑われます。

 

様子を見ても良い場合

上記のようなサインがなく、お子さんの機嫌が良く、比較的元気がある状態であれば、まずは家庭での対応を試みることができます。

また、水分を十分に摂れており、食欲が普段通り、または少し落ちている程度であれば、経過観察で問題ありません。自然に回復することが期待できます。

ただし、症状が長引く場合(1週間以上)や、少しでも気になることがあれば、かかりつけの小児科医に相談しましょう。

 

下痢のときの食事はどうする?

下痢のときは、胃腸が弱っているため、消化の良いものを食べさせてあげることが基本です。診察室ではよく「便の硬さと同じくらいの硬さのものを食べさせてあげましょう」とお伝えしています。これは、弱った腸の消化・吸収能力に合わせた食事形態にすることで、腸への負担を和らげ、回復を助けるという考え方に基づいています。

 

なぜ「便の硬さ」に合わせるの?

下痢をしているときの腸は、食べ物を消化し、水分や栄養を吸収する力が弱まっています。そこに普段通りの食事や、消化の悪いものを入れてしまうと、さらに下痢が悪化したり、腹痛を引き起こしたりすることがあります。便が水っぽくなっているということは、それだけ腸が水分を吸収できていない証拠です。そのため、食事も水分に近い、消化しやすい形態にすることで、腸への負担を最小限に抑えることができるのです。

医学的には、便の硬さは消化過程で身体が吸収する水分の量によって決まります。通常、食べ物が大腸を通過する際に、結腸が水分を吸収しながら便を形成します。下痢の時期に合わせて食事の形態を変えることは、弱った腸の消化・吸収能力に負担をかけず、栄養補給と腸の回復を同時に実現する、医学的に根拠のある方法なのです。

 

便の状態別・食事のステップ

ステップ1:水のような下痢(水様便)のとき

この時期は、まず脱水を防ぐことが最優先です。食事は無理強いせず、水分補給を中心に行いましょう。経口補水液は、ナトリウムやカリウムなどの電解質を含んでおり、単なる水よりも効率的に水分と栄養を補給できます。湯冷まし、麦茶、具なしの野菜スープなども良い選択肢です。ポイントとしては、一度にたくさん飲ませると吐いてしまうことがあるため、スプーンや哺乳瓶で少量ずつ、こまめに与えることが大切です。

 

ステップ2:ドロドロの便(泥状便)のとき

少しずつ腸が回復してきたサインです。水分補給を続けながら、ペースト状の消化の良いものを試してみましょう。10倍がゆ、ポタージュスープ、すりおろしリンゴ、野菜の裏ごしなどが適切です。この段階では、脂肪分や食物繊維の多いものは避け、炭水化物を中心にエネルギーを補給することが重要です。栄養学的には、消化しやすい炭水化物は腸への負担が少なく、エネルギー補給に最適です。

 

ステップ3:やわらかい便(軟便)のとき

回復期に入り、便が少しずつ固まってきたら、食事も徐々に形のあるものに戻していきます。やわらかく煮たうどん、おかゆ、豆腐、白身魚、鶏のささみ、よく煮た野菜などが良い選択肢です。この段階では、タンパク質の補給も重要になってきます。ポイントとしては、味付けは薄めにし、食材は細かく刻んだり、やわらかく煮込んだりする工夫をしましょう。

 

下痢のときに避けたい食べ物

脂肪の多いもの は消化に時間がかかるため避けるべきです。揚げ物、ラーメン、脂身の多い肉などは、弱った腸に大きな負担をかけます。

食物繊維の多いもの も、この時期には適切ではありません。きのこ、海藻、ごぼう、玄米などは、腸の動きを活発にしすぎてしまい、下痢を悪化させる可能性があります。

乳製品 についても注意が必要です。牛乳、ヨーグルト、チーズなどに含まれる乳糖が、下痢を悪化させることがあります。腸炎中には、一時的に乳糖を分解する酵素の活性が低下するため、乳製品の摂取は控えましょう。

冷たいもの・甘いもの も避けるべきです。アイスクリーム、ジュースなどは、腸を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。

柑橘系の果物 も、この時期には適切ではありません。みかん、オレンジなどに含まれる酸が、腸を刺激することがあります。

 

市販薬の使用について

下痢止め薬の使用については、医師の指示を仰ぐことが重要です。一般的に、小児の急性下痢では、脱水の予防と栄養補給が最優先であり、下痢止め薬は必ずしも必要ではありません。むしろ、下痢は身体が病原体を排出しようとする自然な反応であり、無理に止めることで、かえって症状が悪化することもあります。市販薬を使用する場合は、必ず小児科医に相談し、お子さんの年齢と症状に適したものを選択してください。

 

まとめ

お子さんの下痢は、保護者にとって心配な症状ですが、慌てずに対応することが大切です。まずは、お子さんの全身状態をよく観察し、「危険なサイン」がないかを確認しましょう。食事は、弱った胃腸を休ませることを第一に考え、「便の硬さ」を目安に、消化の良いものから少しずつ進めていくのがおすすめです。

子どもの体温が高いとき、すぐ受診すべき? 数字に振り回されない発熱の見方

小児科の外来では、
「体が熱い気がして測ったら37℃台後半でした」
「平熱が高めなので、どこからが発熱なのかわからなくて…」
といったご相談を日常的に受けています。

子どもの体温は、大人とは違い、高めで変動しやすいという特徴があります。
この記事では、子どもの体温の基本的な考え方と、受診の判断で大切にしてほしいポイントをお伝えします。

子どもの「平熱」は一人ひとり違います

一般的に、健康な子どもの体温は36.5〜37.5℃前後が目安とされています。
ただし、これはあくまで参考値であり、「平熱」は一律に決まるものではありません。

子どもは

  • 新陳代謝が活発

  • 体温調節機能が未熟

  • 外気温や活動量の影響を受けやすい

といった理由から、体温が高めで、日によっても差が出やすいのが特徴です。
そのため、「この数字=異常」と決めつけるのではなく、その子自身の“いつもの体温”を知ることが大切です。

子どもの体温は1日の中でも変動します

体温は、朝に低く、午後から夕方にかけて高くなる傾向があります。
これは「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれる、体に備わった自然な変化です。

夕方に37℃台後半を示すことは、必ずしも病気を意味するものではありません。
測定した時間帯や、直前の活動量もあわせて考えることが重要です。

小児科が重視しているのは「体温」より「全身の様子」

発熱のご相談を受ける際、私たちがまず確認するのは体温の数字だけではありません。

  • 元気はあるか

  • 食事や水分がとれているか

  • 眠れているか

  • いつも通り遊べているか

こうした全身状態は、体温以上に子どもの体調を反映します。
体温がやや高めでも、これらが保たれていれば、急いで受診が必要ない場合も多くあります。

こんな場合は、早めにご相談ください

一方で、次のような症状がある場合は、体温の数値に関わらずご相談ください。

  • 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある

  • ぐったりして元気がない、顔色が悪い

  • 水分があまりとれず、おしっこの量が少ない

  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている

  • 嘔吐や下痢を繰り返している

  • けいれんを起こした

最後に

体温は、子どもの体調を知るための大切な目安です。
しかし、数字だけを見て不安になる必要はありません。

「いつもと違う様子があるかどうか」
「気になるサインがあるかどうか」

迷ったときには、遠慮なくご相談ください。

第2回「ダウン症しばふひろば」を開催しました

2025年11月1日、木津川市エルプラット様https://www.fundamental.co.jp/ )にて、「第2回 ダウン症しばふひろば」を開催しました。


“安心してつながれる場所をつくりたい”という思いから

この取り組みは、
ダウン症のあるお子さんとご家族が、安心してつながり合える場を地域に作りたい
という思いを持つ仲間たちとのつながりの中で生まれました。

当院で ゆめ工房さん( https://www.instagram.com/yumekobo2018/ )とともに開始したインソール外来 を通して、ダウン症のお子さんやご家族とお話しする機会が増えたことも大きなきっかけです。

そこで寄せられた声は、

  • 伸び伸びと体を動かせる場所がほしい

  • 同じ境遇の家族と気兼ねなく話したい

  • 安心して過ごせる屋外空間が少ない

といったものでした。

こうした思いを共有する仲間と話し合う中で、「フットサルコートで自由に遊べる時間をつくろう」と立ち上がったのが、この「しばふひろば」です。


青空の下、ただ自由に過ごす贅沢な時間

青空の下、芝生の上で、遊んで、しゃべって、笑い合う。

そんな想いでつくったイベントです。

お子さんたちは、思い思いにボールを追いかけたり、ゆっくり芝生でごろごろしたり、兄弟で遊んだり。

ご家族はリラックスした様子で交流し、穏やかな時間が流れていました。


半年で生まれた新しい動き「SORAIROサッカースクール」

5月の初開催から半年。
その間に、もうひとつ大きな動きが生まれました。

それがダウン症児向けサッカースクール
「SORAIROサッカースクール」
https://www.instagram.com/sorairo_soccer_school/ )の始動です。

初回イベントで、お子さんたちがサッカーコートで
予想以上に楽しそうにボールを追いかける姿がありました。

その光景をきっかけに、

  • 「これ、サッカースクールにつながるんじゃない?」

  • 「特性に合わせて安全に楽しめる運動づくりができるかも」

といった声が参加者・スタッフの間で広がり、仲間同士の連携によってスクールが立ち上がりました。

スクールでは、

  • 特性に合わせた安全な体作り

  • 飽きずに楽しめるトレーニング設計

  • 親子で参加しやすい雰囲気

  • 小さな“できた!”を積み重ねる工夫

を大切にしながら活動を続けています。


つながりが新しい輪を生む

今回も多くのご家族に参加いただき、「安心していられる場所がある」という声をたくさんいただきました。

イベントを継続することで、

  • 親子の新しいつながり

  • 家族間の情報交換

  • 医療・福祉・スポーツ分野の連携

  • 活動の仲間づくり

など、地域に新しい輪が広がっています。

しばふひろばは、こうした自然なつながりが生まれるきっかけの場であり続けたい と思っています。


次回に向けて

今後もこの取り組みが、無理なく、温かく、長く続いていくように、仲間たちと協力しながら育てていきます。

参加してくださった皆さま、運営にご協力いただいた皆さま、そしてこの活動を支えてくださるすべての方に心から感謝いたします。

第3回もお楽しみに!

赤ちゃんの哺乳量、心配しすぎなくて大丈夫!

ミルク , 哺乳量 , 母乳 , 育児相談

クリニックの診察室では、毎日たくさんのママやパパから、赤ちゃんのミルクや母乳について相談を受けます。

「うちの子、これだけで足りてる?」

「飲む量にムラがあって、昨日と全然違う…」

「母乳だから、どれだけ飲んだか分からなくて不安…」

特に初めての育児だと、赤ちゃんの哺乳量は本当に悩ましいテーマですね。他の赤ちゃんとつい比べてしまって、「うちの子は大丈夫かな?」と心配になる気持ち、とてもよく分かります。

そんな「哺乳量の悩み」が少しでも軽くなるように「赤ちゃんのミルク」についてまとめてみました。この記事を読んで、「それで良かったのか!」と、毎日の授乳時間がもっと安心できるものになったら、私も嬉しいです。

 

1. まずは基本のキ。「月齢ごとの目安量」を知っておきましょう

哺乳量には本当に個人差があります。ここに書くのは、あくまで「だいたいの目安」。忘れないでほしい一番大切なことは、「赤ちゃんの体重が、その子なりに順調に増えているか」 これに尽きます!

0〜1ヶ月

母乳:赤ちゃんが欲しがるたびにあげましょう。1回に飲む量は15mLの時もあれば、80mLの時もあるくらい、幅が広いです。

ミルク:1回 40〜80mLくらいを、1日に6〜8回ほど。

特徴:日によって飲める量がコロコロ変わる、「ムラ」が一番大きい時期。焦らなくて大丈夫!

1〜2ヶ月頃

1回に飲む量は 80〜120mL。

1日の回数は 6〜7回程度。

体重は1日に 25〜40g くらい増えるのが理想です。

3〜4ヶ月頃

1回に 120〜160mL。

回数は 5〜6回に少し減ってきます。

夜中に起きる間隔がだんだん空いてきて、まとまって寝てくれる子も。

5〜6ヶ月頃

1回 140〜200mL。

離乳食が始まると、ミルクや母乳の量は少しずつ減ってきてOKです。

“ミルクより遊びたい!”という自己主張が出てくるのもこの頃。成長の証です。

7〜12ヶ月

1回 100〜150mL。

回数は 3〜5回ほど。

ごはん(離乳食)で栄養を摂る割合が増えるので、ミルクや母乳の量が自然と減っていきます。

2. 「飲む量にムラがあるんだけど…」これって普通?

普通のことなので心配いりません!

赤ちゃんも我々大人と一緒。「今日はなんだかお腹すいたな〜」という日もあれば、「今日はあんまりいらないや」という日もあります。

✔︎ よくある“元気なムラ”

日によってトータルで50〜100mLくらい飲む量が変わる。

1回目はゴクゴク飲んだのに、次はちょっとしか飲まない。

昼間はあまり飲まないけど、夜にまとめて飲む(その逆も!)。

✔︎ ちょっと注意したいサイン

24時間で飲む量が、いつもの半分以下に極端に減った。

おしっこの回数がすごく減って、色も濃い。

なんだか元気がない、ぐったりして寝てばかりいる。

 → こんな時は、一度クリニックの受診を!

3. 吐き戻しが多い…大丈夫?

これも、ほとんどの赤ちゃんにあることなので、安心してください。

生後4ヶ月くらいまでの赤ちゃんの胃は、大人のような“フック形”ではなく、まっすぐな“徳利(とっくり)”みたいな形をしています。だから、飲んだミルクがちょっと戻ってきやすいです。これは生理的な現象です。

◎ 問題ない吐き戻し

吐いた後もケロッとしていて、機嫌が良い。

体重がちゃんと増えている。

飲んだミルクや母乳がそのままの色で出てくる。

△ 受診を考えてほしい吐き戻し

「ビシャーッ!」と噴水みたいに吐くのが何回も続く。

緑色や黄色っぽいものが混じっている。

血が混じる。

体重が増えない、飲む力も弱くなってきた。

◆ お家でできるちょっとした工夫

授乳の後、10〜15分くらいはゲップの姿勢のまま縦に抱っこしてあげましょう。

ゲップは無理に出そうとしなくても大丈夫。最近は「無理に出さなくても良い」というのが定説です。

4. 母乳育児の「飲んだ量が分からない」問題

これは母乳育児のママたちが抱える一番の不安かもしれませんね。

でも、母乳育児で大切なのは、量よりも「赤ちゃんの様子」で判断すること。これが鉄則です!

✔︎ 母乳が足りているサイン

おしっこが1日に5〜6回以上、ちゃんと出ている。

授乳のあと、赤ちゃんが満足そうに落ち着いてスヤスヤ寝る。

体重が順調に増えている(1ヶ月検診で600g以上増えていれば問題なし)。

授乳の後、おっぱいが柔らかくなる感じがする。

ほっぺがふっくらしてきて、機嫌が良い時間が多い。

✔︎ 心配なサイン

ずっと泣いている、飲ませてもすぐに泣き出してしまう。

なんだかぐったりして、寝てばかりいる。

おしっこの回数が明らかに少ない。

体重が増えていない。

→ こんな時は、ぜひ小児科を受診してください。

5. 一番大切なこと

哺乳量はあくまで「目安」です。我々が見ているのは、数字そのものよりも赤ちゃんの成長そのものです。

教科書通りにいかなくたって、それが異常ということではありません。

✔︎ この3つだけは、お家でチェックしてあげてください

機嫌は良いか?

おしっこは出ているか?

体重は少しずつでも増えているか?

この3つがクリアできていれば、ほとんどの場合は心配いりません。

6. 不安な時は、いつでも頼ってください

育児の中でも、哺乳量の悩みは本当に精神的な負担が大きいものです。

母乳でも、ミルクでも、混合でも、ママが一生懸命考えて選んだ方法が、赤ちゃんにとってのベストな方法です。

 

「これでいいのかな…」と一人で悩み続けるのは、本当につらいこと。

気になることがあれば、どんな些細なことでも構いません。いつでもクリニックに相談に来てください。

当院では、医師はもちろんのこと、助産師(毎週火曜)、看護師、管理栄養士(離乳食アドバイザー)、保育士に気軽にご相談できます。ぜひご利用ください。

 

助産師による産後ケア・育児相談

15時〜16時の乳幼児の時間(火曜日限定)で、予防接種や健診、診察などと一緒に

助産師に育児相談ができます。

育児や、産後のママの身体や心の不安、おっぱいのことなど心配事や不安なことがあればご相談下さい。

季節の変わり目に気をつけたい子どもの病気

季節の変わり目に気をつけたい子どもの病気

〜体調を崩さないためのコツ〜

「季節の変わり目は体調を崩しやすい」とよく言われます。診察中、私もよく言っていると思います。
実際、朝晩の冷え込みや湿度の変化により、子どもの体調を心配して来院されるご家庭が増える時期でもあります。

子どもは大人に比べて体温調整がまだ未熟なため、急な気温差や乾燥に敏感に反応します。ただし、寒暖差や乾燥そのものが病気を“直接”引き起こすわけではありません。これらは体へのストレスとなり、粘膜の防御機能を弱めたり、自律神経のバランスを崩すことで、結果的に感染症や持病の悪化につながりやすくなるのです。


季節の変わり目にかかりやすい主な病気

● 喘息(ぜんそく)

季節の変わり目は喘息の発作が起こりやすい時期です。特に朝晩と日中の気温差が大きい日は、ゼーゼーとした呼吸や夜間の咳が増えやすくなります。
また、梅雨や秋雨の時期は湿度が上がり、ダニやカビが繁殖しやすくなるため、アレルゲンによる発作も起きやすくなります。喘息をもつお子さんにとっては、一年の中でも注意が必要な季節です。

● アトピー性皮膚炎

秋から冬にかけて乾燥が進むと、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみや湿疹が悪化しやすくなります。
かゆみが強いと夜眠れなかったり、集中力が落ちるなど、生活全体に影響を及ぼすこともあります。早めの保湿ケアが大切です。

● かぜ(かぜ症候群)

「寒暖差で風邪をひく」と思われがちですが、風邪の原因はウイルス感染です。
ただし、気温の急変や乾燥によって鼻や喉の粘膜が弱まると、ウイルスが体内に入りやすくなります。
季節の変わり目は、体調を崩したり感染症にかかる子が増えるのはこのためです。


ご家庭でできる予防の工夫

● 衣服でうまく温度調整を

気温差が5℃以上ある日は、体に負担がかかりやすくなります。
外出時は薄手の上着を持ち歩き、寝るときは腹巻きやスリーパーで寝冷えを防ぎましょう。
こどもは薄着で寝たがりますよね。衣服での調節が難しいときは室内温度設定に気を使いましょう。

● 室内環境を整える

乾燥する時期は加湿器を使って湿度40〜60%を目安に。
逆に梅雨や夏場は、窓を開けて風を通し、湿気をためない工夫を。カビやダニの繁殖を防ぐことができます。

● スキンケアの習慣化

入浴後10分以内の保湿が効果的です。乾燥の強い時期は1日2回の保湿を心がけましょう。
皮膚を守ることは、感染予防にもつながります。

ヘパリン類似物質泡スプレー(泡の保湿剤)をこまめに使うのがお勧めです。

● 睡眠と食事

睡眠と食事は免疫の土台です。夜更かしや偏った食事を避け、規則正しい生活リズムを。
目安として、未就学児は10〜12時間、小学生は9〜11時間の睡眠が理想です。

● 手洗い・うがいの徹底

帰宅後、食事前、トイレやオムツ替えのあとには、石けんで20秒以上しっかり手を洗いましょう。
感染症対策の基本ですが、最も効果的な習慣です。


まとめ

季節の変わり目は、寒暖差や乾燥といった環境の変化で、子どもの体に負担がかかりやすい時期です。
直接の原因にはならなくても、体の防御力を弱めてしまうことで、感染症や持病の悪化を招くことがあります。

「衣服で温度を調整する」「加湿と保湿で乾燥を防ぐ」「手洗いを徹底する」――
こうした日常の小さな工夫が、子どもの健康を守るいちばんの近道です。

そして、もし「いつもと違う」「気になる症状が続く」と感じたら、早めにご相談ください。

(参考:厚生労働省「子どもの健康と予防接種」/国立感染症研究所「感染症情報センター」/日本小児アレルギー学会ガイドライン)

赤ちゃんを前向きに抱っこするのはダメ? 前向き抱っこのメリットデメリットとは

イベント , 抱っこ紐

まだ歩けない赤ちゃんとお出かけするとき、抱っこ紐は欠かせませんね。

街を歩いていると、赤ちゃんを「前向き抱っこ」している方もよく見かけます。

赤ちゃんが同じ景色を見られて楽しそうな姿に、つい真似したくなる方も多いのではないでしょうか。

でも実は、前向き抱っこにはメリットだけでなく、赤ちゃんの体や親の体にとって気をつけたいポイントもあります。

今回は、前向き抱っこのメリットと注意点について解説します。

■ 前向き抱っこのメリット

赤ちゃんが前を向いて抱っこされることで、得られる良い効果もたくさんあります。

1. 視野が広がる
生後6か月ごろになると、首や腰がしっかりしてきて、周囲の人や物への関心が高まります。
前向き抱っこは、赤ちゃんの「見たい」「知りたい」という探索意欲を刺激してくれます。

2. 気分転換になる
外の景色や音が目新しく、泣いていた赤ちゃんが落ち着いたり、ご機嫌になることも。
短時間のお散歩や買い物にはぴったりです。

3. 社会的な交流が増える
周囲の人と目が合いやすくなり、「かわいいね」と声をかけてもらうことも。
赤ちゃんにとっても保護者にとっても、外の世界との接点が増える良い機会になります。


■ 注意したいポイント

一方で、長時間の前向き抱っこや月齢に合わない使い方は、赤ちゃんの体に負担をかけてしまうことがあります。

1. 股関節・背骨への負担
赤ちゃんの股関節はM字開脚(脚が自然に開いた状態)で安定します。
前向き抱っこでは足が下に伸びやすく、この姿勢を保ちにくくなります。
また、背骨も本来は少し丸みを帯びていますが、前向き姿勢では伸ばされやすく、体への負担につながります。

2. 首・腰の安定性が必要
首すわりは3〜4か月、腰の安定は6か月前後が目安です。
この時期より早い前向き抱っこは、姿勢が不安定になりやすく避けたほうがよいでしょう。

3. 親子のアイコンタクトが減る
赤ちゃんの顔が見えないため、表情や体調の変化に気づきにくくなります。
「目が合う」「声をかける」といった安心感のあるコミュニケーションが減ってしまうこともあります。

4. 刺激が多すぎることも
光や音、人の動きなど、前向きだと刺激を直接受けやすい姿勢になります。
敏感な赤ちゃんでは疲れやすく、帰宅後のぐずりや夜泣きの原因になることもあります。

5. 安全面にも注意
重心が前にかかるため、保護者がつまずいたときなどに赤ちゃんが影響を受けやすくなります。
手すりのない場所や混雑したところでは特に注意しましょう。


■ ヒップシートを使うときのコツ

最近は、腰の位置で支える「ヒップシート」も人気ですね。
便利なアイテムですが、使い方を間違えると体に負担がかかることもあります。

・使用できるのは、腰がすわる生後6〜7か月以降が目安です。
・腰ベルトは高めのウエスト位置で締めると重心が安定します。
・長時間の使用は避け、10〜20分程度の短時間利用にとどめましょう。
・腰が弱い方は腰への負担、ベルトなしタイプでは肩への負担が強くなるため、自分の体調に合わせて選びましょう。


■ まとめ

前向き抱っこは、赤ちゃんが世界に興味を持ち始めた頃に楽しめる素敵なスタイルです。
ただし、発達の段階や体への負担に注意しながら、短時間・安全に取り入れることが大切です。

抱っこの時間は、親子の距離がもっとも近づく大切な時間。
赤ちゃんの表情や体のサインを感じ取りながら、その瞬間を楽しんでください。

当院のお昼休みのイベントでは、精華町でご活躍の萱場助産師さんが「抱っことおんぶの教室」を開催しておられます。興味のある方はぜひご参加ください。

ご予約はこちらから

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